研究テーマ

認知症高齢者を対象とした速度フィードバック療法の有効性に関する研究
-無作為化比較試験-

目次

資料1 訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)
資料2 Mini-Mental State Examination(MMSE)
資料3 N式老年者用日常生活動作評価尺度(N-ADL)
資料4 認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)
資料5 研究説明文書及び参加同意所

1. 背景

 高齢化が急速に進む中、わが国の認知症高齢者の数は現在の約130万人から、30年後には300万人を超すと推測されている1)。認知症は脳器質性疾患による症候群で、注意、記憶、思考、理解、判断、計算などの認知機能が低下していく状態であり2)、精神症状や問題行動、日常生活活動の低下など、社会的にも重大な問題として認識されている3)。こうした状況の中で、認知症高齢者に対するリハビリテーションは未だ試行錯誤の段階であり、その確立が急務といえる4)。
 理学療法においては、身体能力に対する運動療法を主体としているため、精神症状を有する認知症高齢者に対して特化したアプローチは未だ皆無といえる5)。しかし諸家の報告で6-13)、身体活動は認知機能に影響を及ぼし、また運動トレーニングは直接的な神経生理学的刺激効果を有することが知られていることから、理学療法が認知症の中核症状である精神症状や認知障害を、予防または改善する可能性があると考えられている。
 こうした中、認知症の中核症状である認知機能障害の根底に、注意力障害が存在することが指摘されている8, 9, 14,15)。注意とは、さまざまな対象や経験の中から特定の「もの」を抽出し、はっきりと意識することである16)。Perfetti17)は、連絡網によって構成される脳は、患者の注意に応じて連結が変化することを示し、認知過程において注意を払うことによって、自己と対象との関係を構築することになると報告している。このような注意力が認知機能の基礎をなすことや18,19)、認知機能障害に対して運動療法を実施することにより注意力障害を改善する可能性がある20,21)ことが知られていることなどから、認知機能障害の改善を導く鍵として、注意力障害へのリハビリテーションを提案する報告は多い。
 こうした注意力障害に対するリハビリテーションの具体的な研究方法として、音成ら18, 22, 23)はP300バイオフィードバック療法を考案した。これは、P300の潜時が加齢に伴い延長し、認知症高齢者で更に延長することを利用し、P300の波形が画面上に明瞭に現れてくるように注意を集中させるトレーニングである。このようなバイオフィードバック療法は認知、行動の変容を促す効果が期待され、注意力を高める手法と考えられる24,25)。また、精神療法的な枠組みのなかで、生態反応に対する認知の修正など特殊な効果を期待できると報告されている。しかしながら、本法はトレーニング時間が長いことや課題を理解できないような重度の知能障害患者には適応できないという欠点がある。また、一方Sohlbergら20)は注意力を高めるトレーニング方法としてAttention Process Trainingの有効性を報告し、その他にも、経皮的電気刺激により認知の様相を変化させる方法26)や、木琴療法8)などが試みられているが、これらはいずれも脳損傷における注意力障害のトレーニング方法であり、音成らのP300バイオフィードバック療法を除いては認知症の注意力障害に対するトレーニング方法は報告されていない。以上のことから、認知症高齢者でみられる注意力障害を対象とし、しかも上肢運動や下肢運動のみ、あるいは視覚トレーニングのみといった精神的に苦痛を伴うものではなく、運動と体性感覚を統合した楽しみながら行えるトレーニングが望まれる27)。
 こうした背景から2004年筆者28)らは、運動療法とフィードバック療法を統合した認知症高齢者の認知機能障害に対するトレーニング方法を考案・作成した。本研究においては、フィードバック療法による介入として自転車エルゴメーターを用いた速度フィードバック療法を導入することとした。これは画面上に任意に表示された目標スピード(回転数)の波形に近づけるようにエルゴメーターを駆動させる速度フィードバック療法であり、目標域に達成しない場合には警報音が発信されるという手段である。自転車エルゴメーターを主運動に用いた理由としては、「自転車」は高齢者にとっても馴染み易い機器であることや、負荷を自由に設定できること、さらに聴覚・視覚に加え運動を媒介することが可能なことなどによる。三浦29)も、エルゴメーターによる運動はセラピストから強制されているという感覚がなく、患者は無理なく好きなように駆動できる利点があると述べており、精神疾患患者に対する運動療法などにも導入されている。本法を用い、認知症高齢者17名を対象として、認知機能障害改善に対する有効性に関する予備的検討を行った結果、認知機能障害の改善が認められ注意力も上昇していたことから、本法によって注意力障害が改善し、その結果として認知機能障害の改善が導かれた可能性が示唆された。しかし同時に、本システムについては、より効果的な運動処方を作成できるよう、さらに改良、発展させていく必要があること、その有効性を比較試験により明らかにしていくこと、さらに認知機能障害の改善と認知症患者のADL、さらにはQOLの向上との関連について検証していく必要があることが明らかになった。
 そこで今回、本システムに改良を加えた後、本法の認知症高齢者の認知機能障害改善への有効性を無作為化比較試験により検証するとともに、それがADLおよびQOLに対して、どのよう影響を及ぼすかを検証することを試みた。
 このように、今回導入しようとしている治療システムは、注意集中を意識した先験的な運動療法といえ、本法が認知症高齢者の注意力障害の改善を促し、それが認知機能障害の改善へと導き、さらには日常生活活動の改善、Quality Of Lifeの向上につながることが示されれば、認知症高齢者に対する理学療法の位置づけを明確にすることができ、今後、理学療法士における認知症高齢者に対する介入プログラムを確立することが期待される。

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2. 目的

  1. 認知症高齢者を対象とした自転車エルゴメーターを用いた速度フィードバック療法の認知機能改善に対する有効性を検討すること。
  2. 認知機能障害の改善が、認知症高齢者のADL・QOLにどのような影響を及ぼすかを明らかにすること。

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3. 研究方法

3.1 改良速度フィードバック療法システムの構築

 システムの全容を図1‐①②に示す。本システムで使用するハードウェアは、自転車エルゴメーター、パソコン、ケーブル、テーブルである。改良点として、高齢者がケーブルに躓き、転倒することを予防するために、パソコン本体と画面を一体型とし、ケーブルやコード類を簡素化した。図2は、本システムのスタート画面で、本体を起動すると表示されるものであり、リハビリテーション開始ボタン、カルテ開始ボタン、軌跡管理ボタン、設定および終了ボタンが設置され、これらのボタンを選択することによって各々の処理を開始することができる。今回、パソコン画面をタッチパネル式に採用したことにより、操作性が簡易化された。図3は、個人情報の入力画面を表示した状態である。対象者の氏名、性別、年齢、生年月日、住所等の個人情報や、担当の医師や理学療法士、対象者の疾病や障害についての情報が記載できるようになっている。図4は、エルゴメーター駆動中の画面を表示した状態を示している。画面に目標回転数を合わせた基準軌跡(基準回転数)を表示し、その軌跡に沿うように対象者が追視して注意しながらエルゴメーターを駆動する。対象者の実駆動軌跡(実回転数)は、リアルタイムで表示される。基準軌跡は、セクション1から5で構成され、刻々と変化している。先行研究では、基準軌跡が見難いとの意見が多かったため、今回は軌跡の幅を太くした。セクション毎の結果は積分値として対象者毎に全て記録される。また、基準軌跡の積分値を100%として、同一時系列における実駆動軌跡の積分値の割合が記録される。基準軌跡から、実駆動が目標回転数域(±5回転)に達しない場合、警告音が発信される。警告音は高齢者を驚嘆させたことや、聞き取りにくかったことにより、「もっと速く」「もっと遅く」といった音声を採用した。図5は、リハビリテーション結果を表示した状態である。TrackIDを選択すると、実駆動軌跡の結果が起動軌跡と共に軌跡画面に表示され、さらに、セクション1から5の積分値の結果と合計値としてセクショントータルが表示される。図6は、軌跡編集画面を表示した状態である。あらかじめ基準軌跡は登録されているが、秒単位で基準回転割合を変更でき、基準軌跡を新たに設定することが可能となっている。図7は、HDS-R、MMSE,N-ADL,QOL-Dの評価項目画面である。先行研究では、紙面による机上での測定評価を行っていたが、今回、これらの評価表をパソコンソフトに標準装備させたことで記録や集計が容易となった。

なお、本システムの構築は、株式会社サンキサービスと共同で実施し、「認知機能障害改善システム」として特許の出願中である。(特願2003-435707)

図1−①

図1−②

図2

図3

図4

図5

図6

図7

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3.2 対象者

 対象者は、通所介護施設の利用者で、以下の選定基準(適格条件/除外条件)を満たす者とした。対象者の選定は、山口県内1施設、高知県内1施設の計2施設において行った。

適格条件
  • 年齢が65歳以上である。
  • 医師によって認知症の診断がなされている。
  • Mini-Mental State Examinationの得点が23点以下である。
  • 家族、施設によって本研究の同意が得られている。
  • 週1回以上参加できる。
除外条件
  • 内科的リスク管理が必要である。
  • 下肢の整形・外科的疾患や中枢神経麻痺によりエルゴメーター駆動能力に支障をきたす。
  • 自転車に乗った経験がなく、上手にペダリングできない。

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3.3 手順

 適格条件を満たし、文書にて同意の得られた対象者を1施設ごとに対照群と介入群の2群のいずれかに割り付けた後、対照群には標準的な自転車エルゴメーターを駆動し、介入群には自転車エルゴメーターを用いた速度フィードバック療法を行った。介入の頻度は、先行研究を参考として対照群と介入群とも6週間の期間で実施した。
図8

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3.4 介入方法

 設定にあたっては、介入群と対照群ともに、両群に対して1回/週以上、5分間/回の介入を基本としたエルゴメーター駆動を6週間実施した。運動負荷は疲労によりペダリングが困難とならないように、20ワットの低負荷に設定した。負荷値を20ワットに設定したのは、①心肺運動負荷試験は、通常低強度運動負荷値20ワットが採用されている、②本介入における対象者は高齢者であり、低負荷が適切であると判断したこと、③先行研究では15ワットを採用したが、15ワットの負荷値ではペダリングが軽く、空回りしたとの意見が多かったことなどによった。また、運動時間を5分間に設定した理由は、①注意、集中の持続時間の限界を5分間と予測したこと、②5分間以上の運動は、身体的疲労によりペダリングに影響を及ぼすと考えられた点からである。
こうした設定に基づき、対照群には、従来の負荷設定によるエルゴメーター駆動を課した。これに対し、介入群に対しては、先述した改良システム、すなわち画面上に任意に表示された基準軌跡に沿うように追視しながら、エルゴメーター駆動を課した。基準軌跡域(±5回転)に達しない場合には、警告音が発信され聴覚的に注意を促した。また、対象者が実験に注意・集中できるように、介入中は声掛けをせずに見守った。
緊急時の対応として、対象者に健康状態の急激な変化、悪化などの徴候が見られた場合には、研究者はすぐに運動を中断させバイタルサインの確認を行い、医師に連絡を取れる状態でデータ収集に努めた。またエルゴメーターへの昇降時、対象者が転落、転倒しないよう見守り・介助を行った。

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3.5 介入群における運動プログラムの流れ

介入群における介入プログラムとして、下記の①から⑤で構成されたプログラムを、6週間継続した。 

  1. バイタルチェック、健康状態の確認。
  2. 実験の説明。「画面の黄色い線に沿うように、自転車を漕ぎましょう」
  3. 駆動開始(ウォーミングアップ30秒)
  4. セクション1~5介入(5分間)
  5. 終了 (クーリングダウン30秒)

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4. 評価

4.1 評価方法

(1)礎属性

対象者の年齢、性別、既往歴、認知症に関する情報をカルテより収集した。

(2)訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R,資料1)

HDS(改訂長谷川式簡易知能スケール)は、1974年に長谷川らによって開発された古い歴史を持つ認知症のスクーリングテストの1つであり、その簡易性と有用性から日本国内では広く使用されてきた30)。
HDSは、その後1991年に加藤ら31)によってHDS-Rとして改訂され、現在に至っている。これは、MMSE(Mini-Mental State Examinatio)との高い併存的妥当性を有し、認知症の鑑別や認知機能の評価について高い弁別力をもった検査であるとされている。HDS-Rは9項目(30点満点)で構成されており、20点以下で認知症の症状が認められるとされ、24.27±3.91は不非認知症、19.10±5.04は軽度の認知症、15.43±3.68は中等度の認知症、10.73±5.40はやや高度な認知症、4.04±2.62は非常に高度な認知症と判断できると報告されている。

(3)Mini-Mental State Examination(MMSE,資料2)

Folsteinら32)(1975)によって開発された国際的に最も広く使用されている認知機能測定のための検査で信頼性・妥当性が確認されている。11項目の質問からなり、得点範囲は0~30点で、得点が高いほど認知機能が良好ということになる。日本語版の信頼性・妥当性も検証されており、我が国では現在認知症と非認知症のcutoff pointは23/24点に設定されることが多い33)。

(4)注意力(積分値)

基準軌跡の積分値を100%として、同一時系列における実駆動軌跡の積分値の割合を記録した。但し、実駆動軌跡の積分値については、基準軌跡と実駆動軌跡の差の絶対値に基準軌跡を加算したものを積分値とした。そして、積算される基準軌跡の積分値を実駆動軌跡の積分値で除して最終の積分値とした。すなわち、実駆動軌跡が基準軌跡と同一の場合に100%となる。以下に公式を示す。
    積分値=基準軌跡の積分値÷実駆動軌跡の積分値

(5)N式老年者用日常生活動作評価尺度 (N-ADL) 資料3

本尺度は、認知症高齢者の日常生活能力を客観的に評価するために開発され、治療や介護による症状の変化や重症度の変化を評価することができる尺度である。身体的ADLを歩行・起坐、生活圏、着脱衣・入浴、摂食、排泄の5項目に分類し、項目ごとに7段階の重症度で評価する。50点満点で、高得点であるほどADL能力が高いとされる。小林34)らによって信頼性・妥当性が確認されており、長谷川式簡易知能評価スケールによる重症度との相関も高い。(資料 )

(6)認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)資料4

QOL-Dは、米国のRabinsら35)が開発した認知症高齢者のQOL 尺度を、鎌田ら 36)が日本語化したものである。2001年、日本風土を反映した項目がこれに加えられ、その内的整合性も確認された37)。QOL-Dは、認知症高齢者におけるQOLの程度を点数化できるものであり、施設内サービスやグループワークなどの現場における評価に使用できるよう工夫されている。全部で24項目から構成されており、得点範囲は0~24点で、高得点ほどQOLが高いと評価される。総合得点と共に「周囲との生き生きした交流」「自分らしさの表現」「対応困難行動のコントロール」の各下位項目について、それぞれ評価を行えるようになっている。

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4.2 評価手順

以下の〔手順1〕から〔手順4〕に従って、評価を行った。

〔手順1〕対象者の情報(年齢、性別、既往歴、認知症)をカルテにより収集し、Mini-Mental State Examination(MMSE)にて23点以下の者を抽出した。同時に、改訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)、N-ADL、QOL-Dを測定した。
〔手順2〕運動プログラム終了後、注意力(誤差の積分値)を測定した。
〔手順3〕6週間の介入終了直後、HDS-R、MMSE、N-ADL、QOL-Dを測定した。
〔手順4〕介入終了1ヶ月後に、HDS-R、MMSE、N-ADL、QOL-Dを測定した。

 

  • 対照群は、手順1、手順3、手順4に従った。
  • 対照群、介入群ともにHDS-R、MMSE、N-ADL、QOL-Dの測定にあたっては他のスタッフ(保健師、理学療法士)に依頼して評価を行った。
  • N-ADL、QOL-Dの測定にあたっては、測定スタッフの主観的判断によるものであることから、すべての評価時期で同一スタッフによる測定を行った。

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4.3 統計学的解析

(1)ベースラインにおける介入群と対照群の比較

ベースラインにおける基礎属性などの変数や、各評価尺度得点について両群間の比較を行うために、正規性の検討を行った後、Mann-Whitney U-testあるいはχ3テストを行った。

(2)本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性に関する検討

介入前、介入終了直後、介入終了1ヶ月後のMMSE,HDS-R、N-ADL、QOL-Dの各評価尺度得点における両群間の差を検討するため、各評価尺度の得点の変化量([実験終了直後の値-ベースラインの値]および[実験終了1ヶ月後の値-ベースラインの値])を従属変数とした二元配置(対応のない因子と対応のある因子)の分散分析を行った。その際、ランダム割付けされた全症例を解析対象とする、すなわち、できるだけ脱落者の影響を排除し、介入前のデータに近い状態でのその有効性を検討するIntention-to-Treat解析を行うために、可能な限り近い時点での測定値を最終時データに引き伸ばすLocf(Lsast Observation Carried Forward)の原理(Gillingsら、1991)を適応した。

(3)積分値の変化量の比較

介入終了直後とベースラインとの積分値の変化量の差をWilcoxon signed-ranks testを用いて検討した。

(4)介入終了1ヶ月後のQOLと認知機能、ADLとの関連

介入終了1ヶ月後のQOLと認知機能、ADLとの関連をSpearman’s rank correlation coefficientにより検討した。

(5)実施回数と認知機能、ADL、注意機能との関連

実施回数と認知機能、ADL、積分値との関連をSpearman’s rank correlation coefficientにより検討した。

(6)介入終了1ヶ月後のQOLに関連する要因

介入終了1ヵ月後のQOLを従属変数、性別、年齢、実施回数、ベースラインのMMSE・ADL・積分値・QOL、積分値の変化量を独立変数としたステップワイズ法による重回帰分析を行った。

尚、介入回数が週1回に満たない者は、解析対象から除外した。
全ての検定におけるP値は両側であり、p<0.05を有意とした。また全ての統計処理にはStatistical Package for the Social Science (SPSS) ver.11.5J for Windowを用いて行った。

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5. 倫理面への配慮

 本研究は2施設の施設長に研究プロトコールを提出し、各施設における倫理審査委員会の承認を得て行われた。また、本研究では対象者が認知症を呈していることから、本人から直接同意を得るのは困難であった。そのため家族に対し、本研究の目的、方法、内容、いつでも参加を拒否できること、プライバシーは厳重に保護されることを文書にて説明し、同意の得られた対象者のみを研究対象とした。研究の実施にあたっては、対象者の精神・身体状況に注意を払いながら、十分な配慮のもとに行った。

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6. 結果

6.1 対象者の研究への参加状況

 2施設における通所介護参加者対象者は139名であり、文書にて同意が得られたのは118人であった。このうち適格基準を満たしたのは90名であり、この90名に対して無作為割り付けを行ったところ、介入群45名、対照群45名に割り付けられた。このうち介入終了直後までに介入群で1名が介入拒否のため脱落、対照群で5名が脱落(1名:膝痛、1名:エルゴメーターへの乗降困難、3名:介入拒否)した。介入終了1ヵ月後までのフォローアップの時期に脱落者はいなかったため、最終評価が可能であったのは、介入群44名、対照群40名となった。(図9)
図9

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6.2 ベースラインデータにおける比較

 ベースラインにおける基礎属性などの変数や、各評価尺度得点について両群間を比較したところ、すべての項目において2群間に有意な差はみられなかった(表1)
表1

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6.3 各評価尺度得点における2群間の比較

 介入群および対照群における介入終了直後から介入終了1ヶ月後にかけての各評価尺度得点の変化を比較したものを表 および図 に示した。得点の変化について二元配置分散分析を行った結果、MMSE,HDS-R,ADL,QOLの得点の変化において、両群間に有意な差を認めた。(表2・3・4・5)(図10・11・12・13)
表2

図10

表3

図11

表4

図12

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表5

図13

6.4 積分値の変化量の比較

 介入終了直後と介入開始時との積分値の変化をWilcoxon signed-ranks testを用いて検討した。介入終了直後の積分値は、介入開始時の積分値に比べて積分変化値が有意に上昇していた。(表6)
表6

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6.5 介入終了1ヶ月後のQOLと、認知機能、ADLとの関連

 介入終了1ヶ月後のQOLと認知機能、ADLとの関連をSpearman’s rank correlation coefficientにより検討した。
 介入終了1ヶ月後のQOLと認知機能、ADLの間に有意な相関関係が認められた。(表7・8・9)
表7

表8

表9

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6.6 実施回数と認知機能、ADL、積分値の相関

 介入群における介入終了直後の実施回数と、認知機能、ADL、積分値の変化量の間に有意な相関関係はみられなかった。(表10・11・12・13)
表10

表11

表12

表13

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6.7 介入終了1ヵ月後のQOLに関連する要因

 介入終了1ヵ月後のQOLを従属変数とし、性別、年齢、実施回数、ベースラインのMMSE・N-ADL・積分値・QOL‐D、積分変化値を独立変性としてステップワイズ法による重回帰分析を行った。その結果、ベースラインのQOL-D得点とともに、積分変価値が有意な因子として抽出された。(表14)
表14

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7. 考察

7.1 参加状況について

 2施設における全対象者135人中118人から研究参加の同意書を得ることができた。しかしながら、28名がMMSE24点以上の非認知症群であったため、適格条件を満たした者は90名となった。
 本研究で用いた自転車エルゴメーターによる速度フィードバック療法は、「画面上の黄色い線に沿うように自転車を漕いで下さい」という説明内容であったことにより、認知症高齢者にとっても、内容を十分理解できるものであったと思われる。このため、脱落した者は介入群45名中、拒否による1名のみであった。一方対照群においては、45名中5名が脱落した。脱落者は、1名がエルゴメーターへの乗降困難、1名が膝痛による、3名が拒否によるものであった。江藤7)は、自己を表現できず言語学習能力を失った者でも動作性学習能力は残存していると報告している。また、山本38)は認知症高齢者において手続き記憶は残存しているため、道具を用いた運動は、わかりやすい手がかりを与えるとし、守口39)は、自転車に乗ったりするような手続き記憶は、認知症高齢者に潜在する能力を引き出す手がかりになると報告している。 このように、高齢者にとっても自転車という馴染み易い機器であったため、本法の内容の理解は容易であったと考えられる。
 しかし、定期的な介入の実施は、心理的に不安定な認知症高齢者を対象にしているため困難であった。江藤7)は認知症高齢者に対する運動処方の目安として、週に3~4回の運動が望ましいと述べている。本法は通所介護施設を利用する者を対象としたため、全ての対象者に一貫した介入回数の設定は困難であった。意欲的に参加する対象者、日によっては拒否的な態度を示す対象者、毎回必ず拒否的な態度を示す対象者など心理的状況によってその参加状況はさまざまであった。小幡40)らは、実際に認知症条例者は、リハの導入は比較的スムーズだが、指示の理解、集中力などの点でその後の継続に関しては一般高齢者よりも困難な場合が多くみられると報告している。坂本41)は、患者と治療者の対人関係は患者の心理状態を大きく左右するため、治療場面において最も重視されなければならない要素であるとし、対人関係の障害の背景に、治療者に対する依存と拒否、好意と拒絶の両側性があると報告している。また、認知症高齢者には精神状態の日内変化や日差などが見受けられることがある。したがって、今後は実施過程において、認知症高齢者のこうした心理的状況を考慮する必要があると思われる。しかし、全体を通して身体的、精神的な有害事象は特に認められなかったことからも、対人関係の形成に留意すれば、本法を認知症高齢者に対しても十分実施していけると思われた。

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7.2 改良速度フィードバック療法のシステムについて

 本法はセクション1~5で構成され、運動負荷20ワットで5分間の運動時間を設定した。久保田42)は、認知症高齢者に認知リハビリテーションを実施することは大きな負担とストレスをかけ、さらに目立った効果が出ないまま無意味に終わる危険性をはらんでいると危惧している。またSohlberg20)は、注意は、疲労や痛みといった身体的な変数によって影響を受けるとしている。先行研究では、運動負荷値を15ワットに設定したが、15ワットという負荷値は高齢者にとっても軽く、空回りしたとの意見が報告され、今回は20ワットに設定した。運動負荷20ワットで5分間の運動時間は、精神的側面、または身体的側面に悪影響を及ぼすことなく実施することができ適切であったと思われる。
 しかし、設定した基準軌跡について、先行研究では、セクション1から5へと経過するに従い、基準軌跡の難易度を高度に設定したが、介入開始時より積分値が高かったことなど基準軌跡の課題が容易であった。以上の反省を踏まえて、難易度をより高度にしたことで、介入前後における注意力の変化をより明確に捉えることができた。また、高齢者にとっても本システムの画面が見え易いよう、軌跡の太さも、認識しやすいように太くした。さらに目標回転数域(±5回転)を外れた場合の警告音に関しては、「もっと速く」「もっと遅く」といった人間の音声による提示としたため、判断が容易であったと考えられる。
 フィードバック療法の特徴として、提示方法の選択が多様であることが挙げられる43)。本法も、基準軌跡、目標回転数域、運動負荷、運動時間が多様に設定できるなど、対象者の個別性を考慮したアプローチが可能である。こうした特性を活かし、今後は今回明らかになった問題点を踏まえ、どのような基準軌跡で、その頻度、時間、負荷値を設定すればよいかなど、最も効果的な運動処方に関して具体的に検証し、本システムをさらに改良、発展させていきたいと考えている。また、認知症高齢者のみならず、あらゆる対象者に利用できよう、楽しみながらできるプログラムメニューを構築してゆく必要がある。

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7.3 介入の効果について

 介入群および対照群における介入終了直後から介入終了1ヶ月後にかけてMMSE、HDS-R、N-ADL、QOL-Dの得点の変化において、両群間に有意な差を認めた。また、介入終了後の積分値は、介入開始時の積分値に比べて、積分変化値が有意に上昇していた。以上のことから、注意機能障害が改善することによって認知機能障害が改善し、ADL、QOLが向上したことが示唆された。
 注意機能向上を主眼においた本介入プログラムは、注意集中を促すために、介入中に対象者に声掛けは行わなかった。また、今回の介入条件として上手にエルゴメーターのペダリングができない者は、あらかじめ除外していることから、積分変化値の上昇はペダリングが上手くなったことよりも、純粋に注意機能が上昇したことによるものといえる。実際、対象者も画面にスクロールされる刻々と変化する軌跡の動きを追視し、目標回転数域の範囲を外れた場合に警告される音声にも奮起しながら運動を実施していた。Woodら44)は、注意のトレーニングには、①知覚的スキャンニング、②識別的知覚、③覚醒、④注意の維持、⑤注意の変換、⑥注意の要領、⑦注意分割の7つの認知操作を含む必要があるとして、注意の手がかりとなる適切な先行刺激を提示する必要があると報告している。同様に小林45)も、注意機能障害に対する行動分析学的アプローチとして、注意の手がかりとなる適切な先行刺激を提示する必要があるとしている。Takeya46)は、対象者を提示方法により、視覚群、聴覚群、視覚聴覚群、対照群に無作為に割付けし、重心動揺の減少を目的としたフィードバックトレーニングを実施し、それぞれ単独の提示よりも、視覚聴覚を提示したトレーニングの効果が最も大きいと結論づけている。Corbetta47)は、注意を向けているときは頭頂連合野と前頭連合野がともに活動することを報告しており、注意機能と脳活動との関連を述べている。本法はこれらいずれの条件を満たしており、本法の有効性を示唆している。
 また、Suzukiら48)は、トレッドミルを用いた研究で、歩行速度を変化させていくことによって、前頭前野、運動前野の脳活動が上昇することを示した。同様に、宮井49)も歩行速度の変化で、運動前野や前頭前野の活動が増強したなど、運動速度の変化と脳機能の向上との関連を示唆する報告も多い。
 以上のことからも、単調な運動トレーニングよりも、注意集中を意識した運動トレーニングは脳活動が上昇し、結果として認知機能の改善に結びつくことが予想された。
 介入群において、介入終了直後とベースラインのHDS-R、MMSE、N-ADL、積分値変化量は、実施回数との間に有意な相関関係は認められなかった。今回は、週1回以上の介入参加者を選定条件にしており、このことから、週1回の介入であっても、本法は有効であることがいえる。すなわち、先述の結果からも、介入回数よりも注意機能が上昇することが重要であるといえる。
 さらに、川島50)は、対象者とスタッフのコミュニケーションのあり方を観察し、スタッフによる課題提示や働きかけに対して、対象者の応答、やりとり、楽しさが前頭葉の脳血流量の増加を示し、認知機能障害が有意に改善したことを報告している。本法は対象者の注意集中を促すためにも、必要以上の声掛けは行わなかった。また、上述した対象者の楽しさという点で、介入群に対しては、本法・本システムが遊具としての役割を果したことも考えられる。

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7.4 介入終了1ヶ月後の効果について

 介入群、対照群における介入前、介入終了後、介入終了1ヵ月後のMMSE、HDS-R、N-ADL、QOL-Dの各評価尺度得点における両群間に有意な差を認めた。しかし、介入終了1ヶ月後において、MMSE、HDS-R、N-ADL各得点の変化量は減少した。これらのことは、本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性を示唆しており、本法を継続することによって、少なくとも評価尺度得点が維持できることを立証している。一方、介入終了1ヶ月後におけるQOL-D得点の変化量は上昇し、その関連する要因として積分変化値が有意な因子として抽出された。このように、本法終了後、認知機能、N-ADLは低下したものの、QOL-Dは上昇を続けた理由として、精神機能と身体機能の両面に強く影響されているQOLは、認知機能、ADLの向上に遅れて上昇したものと推測される。本法の結果からも、両群における介入終了1ヵ月後のQOL-Dは、介入終了1ヶ月後のHDS-R、MMSE、N-ADLと有意な相関関係を認めている。鎌田ら36)もADLの自立度がQOLに影響していることを報告している。実際に身体機能が向上し、ADL能力が高まった後に、モチベーション等の精神機能が高まりQOLが向上することは予測できることである。以上のことから、注意機能を高めることを念頭に本法を継続してゆけば、認知機能、ADLが向上し、最終的にQOL向上に結びつくことが示唆された。 
 また本結果は、介入終了1ヵ月後の効果を示したものであり、この時点でのQOL-Dは上昇していたが、さらにフォローアップ期間を延長した場合、QOLはどのような傾向を示すか検証していく必要がある。

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7.5 理学療法領域における本介入の位置付け

 2000年の日本理学療法士協会による実態調査によると、理学療法の対象疾患としての「認知症」は第5位であった51)。このように、認知症は理学療法の対象として上位にランクされているが、認知症に対する理学療法が処方されることは実際には少ない。上村52)は、理学療法士が関わる認知症高齢者とは「認知症」を合併した障害老人であると指摘する。また小林45)は、理学療法の現場で求められているものは、「注意の低下」や「注意力障害」そのものを改善し治療することではないと報告している。すなわち、注意力という抽象的、かつ捉えどころのない概念を臨床に持ち込むことに否定的であり、注意力障害によって起こった行動特性に基づいて学習させることが重要であるとしている。その上で、注意力障害そのものに対する治癒や改善に関しては、困難や限界が伴うことを指摘している。また、網本53)が行った理学療法士が在籍する1872施設を対象とした全国調査で、「苦渋している症状」の内訳の結果をみると、認知症が第1位を占めていた。これらのことから、理学療法士が認知症に対して特化したアプローチを持たないことがいえる。
 これに対して、宮本54)は日常生活活動の獲得は、目的であって治療手段であってはならないと報告している。杉原55)は、注意力障害そのものに対する具体的なアプローチが必要であることを訴えている。上村52)も、理学療法士はもっと積極的に認知症そのものを評価し、アプローチしていくべきであるとしている。彼らはすべて、これまでの反省点として、理学療法士は運動機能に携わっているにもかかわらず、行為の背景にある高次機能的な側面から目を背けていることや、認知症に対して目的の曖昧な理学療法を漠然と行ってきたことを指摘している。与那嶺56)は、理学療法は言語によらず治療的なアプローチが可能な領域であり、運動を媒介として認知機能障害にも有効に介入できることを報告している。
 このような緒家の報告は、認知機能障害に対する理学療法の期待と可能性を示唆していると思われる。
 本法は、このような状況を是正するひとつの介入法として意義があると考える。すなわち本法は、運動と体性感覚を統合させることで、認知症高齢者が積極的、能動的に運動しながら認知機能障害を改善させるシステムであり、認知症の中核障害に対する直接的アプローチである。
 認知症高齢者が急増するなか、リハビリテーションの確立が急務といわれており、今後さらに認知症に関わる理学療法士が増えることが予想される。こうした状況のなか、本法は認知機能障害に対する理学療法の可能性を高めるうえで、また従来からの理学療法との差異を明確にし、理学療法士の視点を広げていくことに多少なりとも寄与できたのではないかと思われる。

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7.6 本研究の限界と今後の課題

 本研究の限界として第一に、実施施設数と対象者数が少なかったため、今回の結果を普遍化できないという点があげられる。今回の対象施設は、地方の山間部に位置する施設であったことから、今後は本介入の有効性を普遍化するためにも、都市部を含めた広い地域と多人数での介入研究の継続が必要であると考えられる。また、対象が通所介護施設の利用者に限られていたので、今後は入所施設など幅広く対象者を選定する必要がある。第二に、今回の介入におけるフォローアップ期間は1ヶ月間と短期間であった。その効果がどの程度持続するか、長期のフォローアップ研究が必要と思われる。

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結語

 認知症高齢者を対象に、自転車エルゴメーターを用いた速度フィードバック療法の認知機能障害の改善への有効性を無作為化比較試験により検証した。また、本システムにより認知症高齢者のADLおよびQOLに対して、どのよう影響を及ぼすかを検証することを試みた。その結果、

  1. 介入前、介入終了後、介入終了1ヵ月後のMMSE、HDS-R、N-ADL、QOL-Dの各評価尺度得点における両群間に有意な差を認め、本研究で作成した速度フィードバック療法システムの有効性が示唆された。
  2. 介入終了1ヶ月後において、MMSE、HDS-R、N-ADL各得点の変化量は減少した。すなわち、本法を中止することで、認知機能、ADLは低下する危険性が示唆された。
  3. 介入終了1ヶ月後においてもQOL-D得点の変化量は上昇し、その関連する要因として積分変化値が有意な因子として抽出された。すなわち、先述した結果からも、注意機能を高めることが、認知機能、ADLを介してQOL向上に有効である可能性が示唆された。

 以上の結果を基に、今後は本法・本システムを非認知症者にも広げ、認知症予防の一翼を担うとともに、認知症高齢者のQOLレベルの向上に対して、さらなる検証が必要である。

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文献

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資料

資料1 訂長谷川式簡易知能スケール(HDS-R)
    文献3)より引用

資料2 Mini-Mental State Examination(MMSE)
文献3)より引用

資料3 N式老年者用日常生活動作評価尺度(N-ADL)
文献 )より引用

資料4 認知症高齢者QOLスケール(QOL-D)
文献 )より引用

資料5 研究説明文書及び参加同意所

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